PSPで分かっていること

PSP FACTS
進行性核上性麻痺で分かっていること

翻訳の初版は有馬靖子が訳し,全国パーキンソン病友の会翻訳ボランティアの伴野憲太郎さんが補助してくれました。
2003年10月9日更新

現在掲載しているものは,医師校閲後のものです。
翻訳:有馬靖子 医師校閲:湯浅龍彦 2005年1月3日更新

2016年9月18日 本サイトにアップ

オリジナルのパンフレットの頒布:米国PSP協会


[PSPとは何でしょうか]
PSPはパーキンソン病に似た稀な神経変性疾患です。この病気は中年の人と初老の人を襲い,女性より男性に少し多く,10万人に6.4人がなります。病気の原因はまだまだ不明で治療法はありませんが,症状はたいていの場合緩和することができます。アメリカ合衆国にはPSPの人は2万人いると見積もられていますが,3千人から4千人しか診断されていません。1963年にジョン・スティール(John C.Steele)博士,リチャードソン(J.C.Richardson)博士,オルゼウスキー(J.Olszewski)博士が,PSPは独立した疾患単位であることを明らかにしました。有名な俳優でありミュージシャンであるダッドリー・ムーア(Dudley Moore)は,PSPと診断されています。


[どんな症状を示すのでしょうか]
初期の症状はパーキンソン病と似ていて,転倒・歩行障害・平衡障害・動作緩慢です。PSPの人はものが二重に見えたりぼやけたりするといった視覚の問題を経験しますし,話すことが困難になったり,嚥下障害を来たします。また,気分や行動にも変化が起きることもあります。進行しますと,寝たきりになったり,車椅子が必要な状態となり,24時間の介護が必要となります。


[PSPはどのように診断されるのでしょうか]
PSPはふつうは神経内科医によって診断されます。臨床の診察以外に診断の決めてはありません。PSPとわかる典型的な症状には,歩行障害とともに,四肢の硬直・動作緩慢・平衡障害といったパーキンソン病の特徴が含まれ,これに眼球の上下運動の制限を伴います。


[進行性核上性麻痺とはどういう言葉の意味ですか]
Progressive “進行性”とは-病気が,診断された時から末期の段階まで,典型的には3年から10年の間,時間経過につれてゆっくりと悪くなること意味します。
Supranuclear “核上性”とは-眼球の上下方向の動きをコントロールしている脳幹の領域を意味します。
Palsy “麻痺”とは-弱くなること,ここでは眼球が動かなくなる”麻痺”を指します。


[PSPが原因で死ぬことはありますでしょうか]
あります。PSPの人は,動けなくなったり,嚥下障害による合併症で肺炎や誤嚥(液体または固体が嚥下時に気管に入ること)をきたして死ぬことがあります。


[どんな治療法がありますか]
現在はこの病気による影響をくつがえす治療法はありません。しかし,多種多様な薬やほかの種類の療法で症状を制すことができます。


[PSPの人とその家族にとっての,独特な問題は何ですか]
PSPがまれな病気であるため,診断がなされるのがしばしば遅れることです。早い診断と適切な情報がないと,家族は病気の将来的な経過を予測することができず,その結果,計画を立てることができません。さらにPSPの人は,それぞれが遠く離れて住んでいるし,また健康管理に精通した専門家とも遠く離れているため,孤独と孤立感を深めます。


[PSP協会は何ができるのですか]
世界的な組織として,PSP協会は医学研究を後援し,PSPの人・その家族・介護者に,情報を提供し,教育をし,支援サポートを提供し,権利擁護をします。PSP協会は医師および関連ある専門家にPSPについての情報を与え,介護をどう向上させるか教育します。


[だれがPSP協会を指導しているのですか]
PSP協会は,非営利(501 3(c))の健康管理団体で,国家委員会の理事と国際的に知られた医療諮問委員会によって管理されます。寄附金が,組織と医学研究の財政的な支えです。PSP協会は,1990年にメリーランド州のバルティモアで創立されました。すでに二人とも故人となりましたが,David SaksとPSPの犠牲者である妻のRobaの示した将来像により導かれてきました。PSP協会の本部は,1998年5月まで,ジョン・ホプキンス(Johns Hopkins)大学の外来医療センターに置かれていました。組織が大きくなったため,今は大学からあまり遠くないより大きな本部に移動しています。名誉会長は,John C. Steele 博士で,彼はグアム島に住んでいて,進行性核上性麻痺・パーキンソン病・アルツハイマー病に関係した病気の研究を行っています。


[PSP協会の支援サービスは何ですか]
・寄附を通しての研究に対する財政援助。過去6年間でPSP協会は,アメリカとヨーロッパの研究者の研究に100万ドルを提供しました。しかしながらもっと多くの財政的支援を必要としています。
・アメリカ国内の多くの都市での公式のサポートグループと,電話「相談者(コミュニケーター)」を通じての非公式の相談サポート。
・季刊のニュースレター・PSP Advocateの発刊,教育パンフレット・ビデオの配布。ホームページとメーリングリスト。
・患者とその家族のための地方での講義,および隔年に開く国際シンポジウム。
・組織提供のための脳バンクに協力して,PSPに関する研究を支援しています。


[私はPSPの人をほかに知りません,どうすればいいでしょう?]
協会の「ネットワーカー」になること。あなたの地域で,PSP協会の協会の教育・情報・財政といった情報資源を広めること。特別な人やイベントを記念して,あるいは追悼して寄附することで,情報資源を共有することができましょう。


[PSP協会が主催したイベントのビデオ]
1999年3月18日・19日
PSP協会と連邦健康保健局(NIH),メリーランド州べセスダのNIHのリスター会館で開かれた,PSPに関するブレインストーミング会議を共催しました。神経科学の分野で神経変性疾患に携わっている75名の世界一流の科学者たちが,研究すべき科学的な問題を見極めるために集まりました。2時間のビデオである「PSPに関するブレインストーミング会議の最重要点」は,会議のまとめ役のIrene Litvan博士が大要を特集したものですが,25ドル+USA内送料3ドル(USA外5ドル)で注文できます。このビデオには「ジョン・スティール博士との会話」が含まれていますが,これは1999年3月21日にバルティモアで行われたPSP協会の会合で,PSPの人や家族から出された質問です。

1999年11月12日・13日
メリーランド州バルティモアのバルティモア・ワシントン国際空港のマリオットホテルで開かれた,2年ごとに開かれるPSPの人とその家族のための第5回シンポジウム。PSPの専門家が,PSPの人とその家族に向けて,介護,治療および研究について話しています。3本セットのビデオが,75ドル+USA内送料7ドル(USA外10ドル)で入手できます。