13.どんな理学療法が患者に有益でしょうか?
理学療法はさまざまな形で役立ちます。転倒で圧迫骨折を患い背中が痛む人のためのマッサージ,椅子から立ち上がるときに使う腕や脚の筋肉の訓練,歩行器の正しい使い方の説明 ( 歩行器だけでは後ろへの転倒は防げませんが),座ったきりにしないこと,一般的な柔軟体操などがあります。
重要な訓練の一つとして,まずベッドの脇にベッドに向かって立ち,片足をベッドに乗せ,もう片方の足は床に立ったままの姿勢をとります。次にベッドの上の足をできるだけ伸ばし,体を前に倒してストレッチします。片足で床の上に立っているのはバランスをとるためです。ストレッチを10回繰り返したら,左右の足を交代します。また,腰の回転も大切です。ベッドに仰向けに寝て膝を立てます。両膝をゆっくりと左,右に倒すのを10回繰り返します。
ストレッチや筋肉屈伸ならほとんどのものが有効です。歩けるうちは,歩くことも大変よいことです。
室内温水プールが近くにあれば,患者にライフジャケットを着せてプールの中で訓練しましょう。その際,誰かが患者を介助する必要があるでしょう。
「トーニング・テーブル(Toning table)」(*1)は,患者を上げ下げする力がある人がいれば便利な道具です。テーブルは電動式で,介助者のかわりをしてくれます。
歩行器とゲートベルトを同時に使用しながら歩くのもよいことです。単に歩くだけでも健康増進,体力強化につながります。トレッドミル(*2)も,患者が乗ってバーにつかまりさえすれば,あとは自動的に歩行でき,とても簡単です。
訳注
*1)トーニング・テーブルは,日本の病院のリハビリテーションスタッフの間では「治療台」と呼ばれるそうです。また,日本では個人ユーザー向けの商品ではないので,一般的な呼び名はないらしいとのことです。
トーニング・テーブルについて説明のある英語のサイトによると,1930年代に,Bernard H. Stauffer という方が開発したようです。英語の tone には様々な意味がありますが,そのうちの1つが「<筋肉などを>丈夫にする,強くする to improve the strength and firmness of your skin, muscles etc.」です。ですから,直訳すると,「筋肉を強くするための台」となります。
米国では家庭用のトーニング・テーブルもあるようで,下記のサイトには「tone at home」というセクションがあります。
http://www.toningathome.com/
下記は,いろんなタイプのトーニング・テーブルが出ている英語のサイトです。
*2)トレッドミルは,ランニングマシーンとも言われます。ベルトコンベアのような機械の上を歩くもので,運動負荷心電図検査にも使われます。
トレッドミル検査について書いてある日本語のサイト
財団法人心臓血管研究所附属病院 http://www.cvi.or.jp/index.html
トレッドミル検査 http://www.cvi.or.jp/section/inspection/12.html
下記の「健康フィットネス運動器具 専門店」では,ルームランナーと呼んでいます。
(2002.3.16作成,2004.12.31更新,2005.7.3更新)