19.PSP患者の家族は財産について,どのような準備をしたらよいでしょうか。
信託財産を設立し,PSP患者名義の財産をそこへ移すべきですか?
他にすべきことはありますか?


訳注:弁護士制度や国民医療保険制度などの制度の内容はアメリカでの情報です。

第一に重要なことは,介護に関する選択や資産の売買などすべてに関して全権を有する弁護士(代理人)を選ぶことです。

たとえ資産がほとんどなくても財産管理は極めて重要です。州により法律が異なりますので弁護士に相談する必要があります。できれば老人介護問題に詳しい弁護士を選んでください。州の「社会保健サービス局」(州により呼び方は違うでしょう)に問い合わせると,あなたにアドバイスできる弁護士会を紹介してくれます。州政府が運営する低所得者向け国民医療保障制度メディケードは,患者の財産がほとんど底をつくまでは老人ホームや在宅介護にかかる費用は支払ってくれません。夫婦の場合,どちらか介護する人は自動車1台と自宅を所有することはできますが,2人の財産をほとんど使い果すまでお金は出ません。

州によって法律はまちまちですが,ワシントン州では夫婦のうち元気な人が79,000ドル,老人ホームに入っている人が2,000ドル所有することが許されています。子どものために財産をとっておきたい場合はいくつかの方法が考えられます。一つには,財産を今贈与することですが,贈与した時点から老人ホームでの介護が必要になるまでの期間が3~5年に満たない場合,贈与した財産は患者のものとみなされ,患者の財産として計算されます(この期間も州によって異なります)。したがって,この選択肢をとるならば,なるべく早く実行に移すのがよいでしょう。

PSP患者でない配偶者も,保険や個人退職年金制度 からおりる保険金や年金の受取り人の名義を,受け取って欲しいと思う人の名義に変更したいことがあるかも知れません。PSP患者名義の財産すべてを,他に移したほうがよいこともあります。これにより元気な配偶者が金銭管理責任を免れるわけではありませんが,このほうが後々有利になることもあります。

あなたの相続人のために,あなたの資産で信託財産を設立することが有効な場合もあります。その際も,経験のある弁護士に必ず相談してください。

以上のことは個々人がいろいろ悩んだ末に判断することであり,倫理的な問題も伴います。老人ホームのサービスを州から提供してもらうために,自ら貧乏になることを望むか,それとも自分の資産でまかなえる他の介護を望むかということです。

おそらく2つの最悪のシナリオが考えられるでしょう。2番目に最悪なのは健康な配偶者が先に亡くなり,PSP患者がすべての資産を相続するケースです。この場合,州(あるいは老人ホームなど)は患者が生きている間ずっと必要な費用を徴収するでしょう。あなたが亡くなった後もPSP患者が介護を受けられるよう十分なお金を残し,かつ他の相続人にも何らかの財産を残す用意があるなら,上記のような事前準備をする必要があります。
本当に最悪の事態とは,健康な配偶者に脳卒中や身体に障害を残す事故など大きな災いが起こることです。夫婦ともに老人ホームでの介護が必要になると,資産は瞬く間に消えてしまいます。この可能性を完全になくすのは恐らく不可能です。

(2002.3.16更新)