22.PSPでは乾咳(空咳)はよく見られる問題ですか?

はい。この咳は嚥下障害や唾液がのどに詰まることに関連しているようです。飲み食いの最中,またその後に起こる咳やのどの詰まりは嚥下障害の兆候として重要です。原因不明の気管支炎や肺炎の場合,嚥下障害が隠れた原因になっていることがあります。飲み込むのが難しくなることを,医学的には嚥下困難(dysphagia)と言います。嚥下困難の検査には言語・嚥下療法士の診断が必要で,患者がバリウムを飲むところをレントゲン動画撮影する嚥下検査が必要なこともあります。窒息や肺炎の危険性を低くする対策は多くあります。嚥下困難はPSPにとって最も深刻な問題のひとつなので,慎重な対応と早期発見が求められます。
(文献:PSP Advocate, First Quarter, 1998)


バリウムを使う嚥下検査で,嚥下の様子を撮影することが可能です。この検査で筋肉がどの程度機能しているかがわかります。乳製品が嚥下困難やのどの詰まりの一因だと感じている人もいますが,ある言語療法士によると,問題なのは牛乳ではなく脂肪だとのことです。ですから無脂肪乳や無脂肪ヨーグルトが解決策になります。ある時点で柔らかい,あるいは裏ごしした食べ物をとる必要も生じるでしょう。また,毎日2クォート(訳注:アメリカでは1クォート=約0.95リットル)ほどの十分な水分を摂ることが大切です。一度に飲み過ぎないようストローを使ってください。頭を後ろに反らせて飲むのはよくありません。わずかにうつむいてストローを使うのが,嚥下には最適の姿勢です。嚥下の専門家によると,痰が出る場合は水にレモンを入れるとよいそうです。また,ある介護士の報告では,自家製の咳止めシロップを就寝前や痰を切りたいときに飲むのも効果があるとのことです。8オンス(訳注:アメリカでは1オンス=約29.6cc)の容器にグリセリンを茶さじ2杯,1個分のレモン汁を加え,さらに8オンスになるまではちみつを足します。これをよくかき混ぜて1回につき茶さじ2杯,1日に何度でも必要な回数飲んでかまいません。これが患者の害になることはありませんし,はちみつとレモンには痰を切る性質があるのです。


困難な嚥下も訓練で改善します。1998年5月の新聞記事によると,ミルウォーキーのウィスコンシン医大が訓練プログラムを開発したとのことです。プログラムの対象者は,脳卒中,首の手術,老化による虚弱で普通に食べることができない患者です。患者は首の前側の筋肉を鍛える訓練をしました。まっすぐ仰向けに寝て,肩を上げずに首だけ上げてつま先を見ます。この訓練を1日3回,6週間続けた患者ののどの筋肉機能が向上したことがレントゲン検査で確認されました。


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(2002.3.16更新)