5.PSP患者のためにはどのようなメガネがありますか?
目がぼやけてしまうことに対しては,どんな対策がありますか?

特に初期においては,しばしば視野が二重になったりかすんだりするという問題がみられます。その解決として,プリズムメガネ(*)を用いることができます。実際はこれは必ずしも有用ではなく,ある神経眼科医によれば,これはある種の常用癖をもたらし,いったん使い始めるとますます度の強いものが欲しくなり,結局は満たされないという状態に陥ります。車に乗ったり(もちろん,運転ではなく!),テレビや映画を見たりするときに二重視野を手早く直すためには,まずいつものメガネやサングラスをかけ,いつもと同じ矯正視力にしたあと片方のレンズはそのままで(もしも,ふだん矯正が必要ないのであれば悪くないほうの目のレンズをはずして),悪いほうの目のレンズに不透明なテープを貼り付けます。どちらの目が悪いかを調べるためには,患者さんの片方の目を覆って,もう片方でよく見えるかどうかを確かめれば分かります。これは,片方の目に眼帯をつけるやり方と同じことです。

目がぼやける症状の発生は多く,そして進行性のものなのですが,その対策はないようです。

別なタイプのプリズムメガネとしては,ミラープリズムメガネ(bed specsと呼ばれることもある)があります。これらはPSPの方が食事やそのほかの座ってする作業をするためにとても役に立つもので,Maxi-Aids (電話番号1-800-522-6294)(*)で求めることができます。ただしこれらを使っているときも決して歩こうとしてはいけません。これらのメガネは食事のときには大変役立ちますが,歩くのには向いていません。


訳注
*プリズムメガネ(寝た状態で使用するメガネ)とは,寝たままで読書をしたりテレビを見たりするために,視線の方向を変えるプリズム式メガネ。通常,屈折矯正がない,中心視野に欠損があるため周辺視野で見る必要のある人が利用する。

*Maxi-Aidsのサイトは,http://www.maxiaids.com/
Reizen Prism Bed Spectacles (2016.5.20現在のURL)

*2016年5月20日に情報を探したところ,下記の日本語のサイトが見つかりました。
難病就業支援プロジェクト資料閲覧室 プリズム眼鏡/ベッド眼鏡
れんず屋 プリズムレンズ
オプトメトリストのいる店 メガネの一心堂 プリズムメガネ
高田眼鏡店 プリズムメガネ
(2002.3.16作成,2004.1.31更新,2016.5.20更新)