1. 飲み込みに関する問題(嚥下障害)が進行した場合、介護者のすべきこと、出すべき食事の種類はどのようなものでしょうか?

PSP患者の嚥下障害は、大きく2つに分けられます。
(1)飲み込むことが、肉体的にむずかしい場合
(2)食べ物や飲み物を肺に吸い込んでしまう場合
これらは生命に関わる問題ですから、患者さんはバリウムを使っての嚥下テストを行い、それぞれの状態に応じた食事法をとることが、絶対に必要です。もしも患者さんが主に液体を肺へ吸い込んでしまうようなら、濃縮をすることで窒息を防止できるでしょうが、これもすべての場合に有効というわけではありません。濃縮したりピューレ状にした場合でも、あまりうまくいかないことがあります。

標準的なPSPの治療では、はじめに資格をもった言語療法士(SLP)によって基本的な嚥下テストを行わなければなりません。バリウムの嚥下テストはそのひとつです。ただしバリウムのテストによる判断だけでは十分ではありません。
言語療法士による総合的な診断を行い、患者さんそれぞれが持つ症状を明確にし、食事の方法、万一の場合の合図、食べ物の調理の仕方などを考えることが必要です。放射線科で嚥下テストを受けるだけでは、これらすべての情報を得ることはできません。
言語療法士は、それ以降どのくらいの頻度で嚥下テストを受けるべきかも、教えてくれるでしょう。ときどき言語療法士に、一緒に食事をしながらPSP患者が食べる様子を見てもらい、そのときに診断をしてもらうようにすることも、とても有効です。ふだんのテストではプリンやクッキーのかけらや飲み物が用いられますが、これらは完全なものではありません。嚥下における症状とは、食事の動作、下方視麻痺、判断力、姿勢制御などの複合的なものであり、一緒に食事をすることで、それぞれの患者さん特有の問題点を言語療法士がはっきりと把握することができます。
(2000.5.21作成)