6.患者が,周囲の人に理解できるくらい明瞭に話をすることができなくなった場合に,どのような道具や方法を用いることができるでしょうか。
「すこしの期間ですが,ほとんどすべてのコミュニケーションの手段,たとえば字を書いたり,プリントしたり,文字を指さしたり(単語をつづることは長くは続きませんでした)することができなくなった後,夫が何を必要としているかは,手作りの絵を使ったサインで知ることができました。私が絵をひとつずつ見せると,彼が欲しいものに触る,というふうに。この状態は3か月続きましたが,その後コミュニケーションの手段はまったくなくなりました。それからは,子どもと同じように世話をしました。母親というものはたいてい子どもが必要としていることは分かるものですよね。私は,彼が必要としていることが何かをうまく考え,当てることができました。私が努力していることを知ってもらえるようにと,しょっちゅう彼を抱いていました。彼が孤独や不安を感じることのないよう,どんな物音にも反応しました。部屋から出るときには,赤ちゃん用のモニターを使いました。」
PSPの方で,発音の問題を抱える場合には,初期の場合は言語療法士(ST)によって提案されたリー・シルバーマン発声練習法(パーキンソン病のために発明された,4週間のプログラム)が役にたちます。この練習法は,指示された内容にしたがうだけの認知能力がなければいけませんから,その効果はPSPの方がどのくらい認知機能に障害があるかによって異なります。それについては身近の言語療法士に相談したうえ,医者の判断を受けてください。
(2002.3.16作成)